「スティーブ・ジョブズ 神の交渉力」(竹内一正著 経済界、2008)という本を読んだ。アップルの創業者である。
あまりよく知らなかったのだが、相当アグレッシブな人物のようだ。経歴を見ると、1955年生まれ、1976年アップル創業、1980年株式公開、1984年マッキントッシュ発売、1985年アップルから追放される、1986年ジョージ・ルーカスからピクサー買収、1995年「トイ・ストーリー」大ヒット、1996年アップルに特別顧問として復帰、1998iMac発売、2001年iPod発売等とある。コンピュータ業界と映画業界を席捲している。
この本の著者は、ジョブズを織田信長のアナロジーで語っているように思える。パワフルで、スピード感覚があって、独断的で、従来の慣習や他人との軋轢を全くおそれないリーダー。本に紹介された、人を人とも思わない数々のエピソードは、読んでいていささかうんざりさせられる(他人の手柄を自分のもののようにする、会社に長年貢献した人間を気分で次々に首にする等々)。
好き嫌いの問題は別にして、すごいと思うのは、徹底していることである。自分の判断しか信じていないように見える。
法律家は、周囲とのバランスとか、世の中の常識に配慮を失ってはならないが、一方で、最終的には自分の判断しか信じてはいけない。当然の前提や、相場にとらわれていては、並みの仕事しかできない。
現在、いくつか、従前は他の弁護士が担当しており依頼者が満足しなくて私の所に来た案件を扱っているが、そのような事案で、前の弁護士が調査、発見できなかった事実関係を発見したり、あらたな(かつ当方に有利な)法的主張の提示を行い、それが判決や和解等の具体的結果に結びつくと、依頼者が大変に満足してくれる。ここで重要なのは、自分しか信じずに、その案件に食らいつく気迫と技術と感覚である。
おそらく、ジョブズには賛否両論あるのだろうが、極めて高度の感覚がある人であることは、周囲も認めざるを得ないのであろう。そういう人物とあうと、自然と刺激を受けることが多く、周囲の人も自らの力を発揮しやすいのであろう。自分の周りにもそんな人がいて欲しいし(そんなに多くなくていいが・・)、自分が誰かにとってそのような存在であることができるならとても幸いなことである。
- 2009/01/12(月) 23:30:31|
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